社会人になった直後は、ビジネスシーンでの経験を積む中で、今まで知らなかったことが山のようにあることに気づくことも多いものです。
もちろん最初は面食らってしまい、時には失敗することもありますが、ひとつひとつ知識を積み重ねていかなければいけません。
また、ビジネスシーンにおいて、自分の知らないことを、経験のある先輩や上司に教えてもらいたい時も出てくるでしょう。
つまり「教えてください」と相手にお願いする時、みなさんはどのくらい敬語の種類が思い浮かびますか?
なかなか気の利いた敬語が思い浮かばない人もいるでしょうが、今日このコラムを読んでいただけると、きっと教えを乞いやすくなるでしょう。
ここでは、「教えてください」の敬語・尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い方と意味9選についてご紹介していきます。
【敬語】…「教えてください」の基本的な使い方と意味とは?
ビジネスシーンでは上司や先輩はもちろんのこと、取引先の企業関係者など、様々な方々に何かを教わったり、アドバイスをもらうことも多いです。
教えを乞うためには、当然ですが「教えてください」という意味を持つ敬語を覚えて、使いこなしたいものです。
スポンサーリンク
それでは、実際にどのような敬語があるのか、ご紹介しましょう。
1.「教えてください」の意味を持つ敬語は「お教え」「ご指導」「ご教授」などがある
まず、代表的な敬語をご紹介しましょう。
・お教えください
・ご指導ください
・ご教授ください
などが、「教えてください」という意味を持つ敬語になります。
いずれの敬語も、相手に対して教えを乞うものですので、相手を目上に置く敬語となっています。
また、ビジネス文書などでは「ご教示ください」という言葉を使うこともあります。
「ご教示」とは、「知っていることを教えてください(示してください)」という意味を持つ言葉です。
主に、資料の提供を依頼したり、法律の解釈を教えてもらう時に、ビジネス文書や電子メールに「ご教示ください」と記載することが一般的です。
ビジネス文書や電子メールではなく、口頭で教えてもらいたい旨を伝えるときは、「ご指導ください」あるいは「ご教授ください」という敬語を伝える方が適切です。
2.「教えてもらう内容」によって敬語を使い分ける
単純に「教えてください」というよりも、敬語を使って「お教えください」などと言う方が、頼まれた方も悪い気はしないでしょう。
でも、教えてもらう時に考えておくべきなのは、その内容です。
1億円のお金が動くような極秘のビジネス情報もあれば、友達の結婚式の日取りとか、飲み会の期日を聞くとか、単純なことを教えて欲しくて尋ねることもあるでしょう。
1億円の極秘ビジネス情報と飲み会の期日を同じ敬語で「お教えください」と聞くなんて、ちょっと違和感がありますよね。
そんな時は、教えて欲しい内容の重さ(貴重さ)によって、「ご教示」「ご教授」など、より経緯の伝わる敬語を使う方がいいでしょう。
スポンサーリンク
【尊敬語】…「教えてください」の基本的な使い方と意味とは?
「教えてください」の尊敬語は「お教えください」となります。
もちろん、それ以外にも「ご教示ください」「ご指導ください」など、様々な尊敬語がありますので、ビジネスシーンに応じて使い分けることをお勧めします。
それでは、「お教えください」の使い方や例文などをご紹介します。
1.基本の使い方は「お教えいただけませんか」が理想的
「教えてください」の最も簡単な敬語の言い回しが、「お教えいただけませんか」という単語です。
また、「お教えいただけませんか」は、顔と顔を合わせて教えてもらいたいときや、電話を使うなど、口頭で何かを教えてもらいたい時に適しています。
具体的には、次のように使います。
・その技術を私にお教えいただけないでしょうか。
・昨日の会議の内容をお教えいただけないでしょうか。
等のように使います。
やはり「教えてください」よりは「お教えいただけないでしょうか」の方が、正しい敬語ですし、正しい敬語を使うことで相手に丁寧さが伝わって「それなら教えてあげよう」という気持ちにさせることもできるでしょう。
2.「ご指導いただけませんか」はより敬意が伝わる敬語
「教えてください」の別の言い方の中でも、「ご指導ください」は相手への敬意が最も強く表現されている敬語と言えます。
実際、言葉に出したり文書に書いてみると「教えてください」よりも「ご指導いただけませんか」の方が、相手の人をよりいっそう敬っている感じが伝わります。
逆に、ここまでかしこまってお願いされると、違和感を感じる人もいるでしょう。
ですので、相手との関係性を考慮して「ご指導いただけませんか」と敬語を使うのがお勧めです。
例えば、生徒と先生、研究者と助手のように、明確に上下関係がはっきりしているときは、「ご指導いただけませんか」を使う方がいいでしょう。
【謙譲語】…「教えてください」の基本的な使い方と意味とは?
次に「教えてください」の謙譲語についてご紹介しましょう。
そもそも「教えてください」の謙譲語は、尊敬語と同じで構いません。
ですので、次にあげる単語が「教えてください」の謙譲語としても使えます。
スポンサーリンク
・お教えください
・ご指導ください
・ご教授ください
あと、ここでは紹介していませんでしたが、別の敬意表現としては「ご教示ください」という言い方もあります。
ビジネスシーンで使うことの多い言葉でもありますので、この章では「ご教示ください」という敬語の使い方や例文についてご紹介します。
1.ビジネスシーンで使うことの多い「ご教示」という敬語
ビジネスシーンではさまざまな方と出会い、さまざまなことで「教えてください」という敬語を使う必要が出てきます。
特に、次のような場合は「ご教示ください」という敬語を使うことをお勧めします。
・ビジネス関係の情報を得る場合
・商品の使用方法や性能について教えてもらう場合
・自分が知らない人を紹介してもらう場合
これらの場面においては、ただ「教えてください」とか「お教えください」と言うよりも、「ご教示ください」と敬意を払ってお願いする方が失礼にあたらず良いでしょう。
ただし、別の例で紹介した「お教えください」とか「ご教授ください」という敬語を使っても間違いではありません。
2.「ご教示」と「ご教授」の違いは「指導の有無」
「教えてください」という敬語の基本形は「お教えいただけませんか」と、かなりシンプルな敬語になっています。
それを「ご教示」とか「ご教授」とか、どちらかといえばかしこまった単語を使った方が引き締まったイメージが強くなり、敬意が伝わるようなイメージも増してきます。
実際、「ご教示」と「ご教授」については、正直言って違いがありません。
あえて違いを付けるならば、マンツーマンの指導を受けるような場合は「ご教授」を、資料の提供や数値などの情報を得る場合は「ご教示」を使うとよいでしょう。
というのも、「ご教授」は何らかの教師から勉学を教えてもらうようなイメージが強いこともあって、専門的な事や学術的な事を質問する時に使った方が、良い敬意が伝わりやすいとされています。
3.目上の人にはシンプルに「教えていただく」でもよい
「ご教授」とか「ご教示」という敬語は、非常にかしこまった言葉なので、ビジネスシーンであっても、社内の人同士と会話をするときにはなかなか使いづらいものです。
ですので、社内の目上の人に何かを教わるならば、むしろシンプルに「教えていただく」という敬語の使い方をしましょう。
その方が、相手に変な気遣いをさせなくて済みます。
敬語を使うということは、相手に自分の敬意を伝えることであり、相手に自分への対応をどのようにさせるか考えてもらうきっかけにもなりえます。
そのことを踏まえて考えると、相手に変な気遣いをさせるぐらいなら、敬語を使うことに固執することはないでしょう。
【丁寧語】…「教えてください」の基本的な使い方と意味とは?
そして、最後に「教えてください」の丁寧語についてご紹介します。
丁寧語は単語に「です・ます」を付ける用法が基本ですので、「教える」という言葉の丁寧語であれば「教えます」が丁寧語になります。
では「教えてください」の丁寧語ってなんだろう、と考えても、です・ますを付けるとおかしくなりますから、困ってしまいます。
実際には、「教えてください」という言葉そのものが既に丁寧ですので、無理に丁寧語を使うことを考えなくてもいいのです。
ですが、敬語を使う時にはどうしても気を付けたいこと、特に丁寧さを強調した敬語を使いたいときもあるでしょうから、そのポイントをいくつかご紹介します。
1.「堅苦しさ」と「丁寧さ」は反比例する
今回は様々な「教えてください」の敬語をご紹介しましたが、そのうち、敬語の強弱をあえてつけるとすれば、次のようになります。
教えてください<ご指導ください<ご教授(ご教示)ください
この強弱、実は「堅苦しさ」も同じ基準になります。
堅苦しさを出したくないならば、「教えてください」を敬語として使う方がいいでしょう。
逆に、形式的な所作を必要とする機会であれば、「ご教授(ご教示)ください」を使う方がいいわけです。
どの場面でどの敬語を使うべきかは、やはり経験を積み重ねることで判断基準が培われることになりますから、先輩や上司の受け応えを見て、それらを培うといいでしょう。
2.敬語とは「相手にどう受けとられるか」を考えて使うべき
敬語、敬語と細かくこだわり過ぎるのもいけませんが、言葉や表現とは話してや聞き手、そして状況によって、適切な敬語を使い分けることが大切です。
同じ人でも相手が違えば言い方も異なりますし、同じ相手との商談と言えども、状況が違えば同じ聞き手と話し手でも表現は変わります。
敬語を使うにあたっては、まず「相手にどう受け取られるか」を考えて、ベストな言い方を瞬時に判断して実践することをお勧めします。
あと、敬語を使うにあたっては、上司と相手とのふるまいなど、周りの人間がどのように敬語を使っているかも配慮することが大事です。
上司が相手に敬語を使っていないのに、自分は敬語を使って相手と話してしまうと、上司の立場が「敬語を知らない非常識な人間」となりかねませんから、自分だけが格好良く敬語を使えばいい、という場合だけではないのです。
まあ、この場合は上司が敬語を知らないのがいけないのですが、ビジネスマンたるもの、いかなる時でも上司を立てるというのが道理ですので、腹立たしいかもしれませんが、時には我慢をすることも必要です。
まとめ
「教えてください」の敬語というのは、教えて欲しい内容によって言い方がいろいろあって、その使い方も変わるものです。
実際、「教えてください」の敬語は「お教えください」が代表的なものですが、「お教えください」1つをとっても、様々な応用形があります。
・お教えください
・お教えいただけますか
・教えてくださいませんか
・お教えいただけないでしょうか
・お教え願えませんか
などと、たくさんの言い方があります。
どれも間違いではないのですが、相手の印象がどのようになるか、どれだけ敬意を表すことができるかを、この機会に再確認いただければ幸いです。
そもそも、敬語はビジネスマンが知っておくべき必要なマナーですので、日頃から正しい知識を身につけておきたいものですし、目上の人に対しても取引先の企業関係者に対しても、敬語を正しく使えるよう、日々努力を惜しまないようにしましょう。
他にこんな記事も読まれています