あなたは、モラハラという言葉をご存知ですか?
近年になって注目を浴びるようになってきたこの言葉ですが、実際にどのような行為なのかご存知でしょうか?
モラハラは、人の人格を傷つけ、時に大きな傷跡を残してしまいます。
ここでは、すぐ始めるモラハラ職場の対策と被害者にならない為の知識と方法についてご紹介します。
1.モラハラの意味とパワハラとの違い
モラルハラスメント、通称モラハラは、1998年にフランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌ氏によって提唱された概念です。
周囲の人間に対して、物理的な暴力ではなく、その人の尊厳や人格を傷つけるような精神的苦痛を与えることを指します。
ただし、モラハラは、決して攻撃しようと思って攻撃しているわけではありません。
モラハラを行う人は、先に被害を受けたのは自分であり、その相手に対して叱責するのは当然であるという思いがあるため、罪悪感を持ちません。
また、周囲に対して高い要求をしており、それが達成できない時に攻撃性を見せますが、その行動は限られた人にのみ行われます。
特に「確かに責任は自分にある」と思い込みやすいタイプはモラハラを受ける対象となりやすく、される側も叱責されるのは当たり前、むしろ怒らせてしまって申し訳ないという思いを抱いている場合もあります。
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その結果、モラハラの当事者たちは互いにモラハラが行われていると認識しないまま、繰り返されていることが多いのです。
また、モラハラは法律上罰する規定がありません。
ですから、もしモラハラによって肉体的、精神的な障害が発生した場合には、民事裁判によって争われ、損害賠償の請求等を行うことになります。
①パワハラは立場を利用し、モラハラは立場に関係なく行われる
モラハラと似た言葉として、パワハラという言葉があります。
世間としてはパワハラの方が有名かもしれませんね。
パワハラとモラハラの違いは、まず立場を利用しているかどうかポイントに挙げられます。
パワハラは、立場の強いものが弱いものに対して行う身体や精神への攻撃と定義しています。
これに対してモラハラは、それが行われるために立場は関係ありませんし、先ほどもお伝えしたようにモラハラをしているという自覚がなければ、受けている側も自覚が無い場合が少なくありません。
いわば、パワハラはいじめのようなもので受ける側は「これはパワハラだ」という自覚がありますが、モラハラは指導の範囲内であるとお互いに認識している場合が多いのです。
そして、体調や精神に異常をきたし始めて、ようやくハラスメントが行われていたのだと気づく場合が少なくありません。
ですから、できるだけ周囲の人たちがコミュニケーションを取り合い、そして気づきあうことが大切なのです。
2.モラハラかどうかを判断するための3つのポイント
職場におけるモラハラは、場合によっては必要な指導の場合もありますし、行き過ぎたモラハラの場合もあります。
過去にモラハラを裁判で争った事例もありますが、モラハラだと認められた場合もあれば指導の範囲であるという判断が下されたケースもあります。
そこで、周囲から受けている行為がモラハラなのか指導の範囲なのか、もしくはその他なのかを判断するポイントをご紹介します。
①業務に対する指摘か人格に対する攻撃か
まずは攻撃の対象が、業務の進め方に対するものなのか人格に対するものなのかを、注意深く観察することが必要です。
口調が厳しいだけでは、モラハラに当たりません。
業務に対する指摘であれば、話のポイントは「取り組みのどこがいけなかったのか」、「どうすればよかったのか」という建設的な会話になります。
ですが、モラハラでは「お前が悪い」、「どうしてそんなことも分からないのか」と、業務内容ではなくその人の人柄や性格を攻撃対象とします。
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話が終わった後に得られるものが無く、自分が悪かったのだという思いだけが残る場合には、注意しましょう。
また、無視をしたり、意見をしようとすることさえ許されない状況を作りだそうとしたりするのも特徴的ですから、そのような状況に気づいたら、モラハラを疑いましょう。
②攻撃対象があなただけか、他にもいるか
モラハラは、特定の1人だけに対して行われます。
もちろん、全員に行っているからいいというわけではありませんが、他の人には優しいのに自分だけ厳しい態度をされていると感じたら、それもモラハラを疑う必要があります。
モラハラの加害者は、無意識のうちに攻撃対象を選んでいますから、仮に立場的な強弱があったとしても、全員を攻撃対象にすることはありません。
モラハラを受けている本人はもちろん、周囲の人も、日ごろから周りを確認し、特定の誰かが異常に攻められていないかを注意深く観察するようにしましょう。
③長期にわたって継続的に行われているかどうか
長期的な継続性も、モラハラを判断する重要なポイントです。
仮に裁判になった場合でも、短期的な出来事ではモラハラであるとの判決が下されることは稀ですが、それが数か月も継続して続くようであれば、話が変わります。
また、半年も継続して言われ続けてしまうと精神的に辛くなってしまいますから、上記で挙げたような状態が1か月も続くようであれば、周囲の人に相談するようにしましょう。
また、周囲の人もそれに気づき、声をかける取り組みが重要です。
3.モラハラに合っている時に実践すべき3つの取り組み
いざ、自分がモラハラに合っていると気づいたら、どのように対応すればよいのでしょうか?
最終手段は裁判で争い、損害賠償を請求しながら再発が起きないように取り組むことでしょう。
ですが、そこまで行ってしまうと精神面や生活に支障がきたしている状態になってしまう可能性がありますので、そうなる前に対策をとることが必要です。
そこで、 段階を追って実践すべき取り組みをご紹介します。
①社内に仲間を作る
まずは、社内の仲間を作るようにするとよいでしょう。
厳しい叱責も、仲間に相談したり話を聞いてもらうだけでも心が安らぎます。
また、モラハラの特徴として、一人を攻撃すると同時に孤立させるという場合もあります。
そうなってしまうと誰にも相談できず、心が傷つくのが加速してしまいますから、日ごろから相談できる仲間やよき理解者を作っておくことが大切です。
そうすれば、いざとなった時に助けてくれることもあるでしょうし、加害者が選ぶ攻撃対象から外れることにもなります。
まずは、モラハラの被害者にならないように凛とした態度で対応できるような取り組みが必要です。
②人事部や上司に相談する
あきらかにモラハラに合っていると感じた時には、社内の専門チームに相談しましょう。
一般的には、人事労務部や総務部がその対応を担っているはずです。
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それらの部署は、職場環境を改善する業務を担っています。
モラハラが行われている環境は明確に問題がありますから、相談することで対応がなされるでしょう。
この時に、もし相談したらますますひどいことをされるのではないかと思う必要はありません。
仮に継続して続くようであれば、部署の異動等も検討されますから、ひどくなる前に相談するとよいでしょう。
③労働局の窓口や法テラスなどに相談する
会社によっては、専門の部署に相談してもまともに対応してくれない場合もあるかもしれません。
本来、会社はそうした問題に適切に対応する義務がありますから、その場合は、個人だけではなく会社も含めて損害賠償請求の対象となる可能性があります。
そしてその場合には、外部の機関へと相談しましょう。
例えば、全国の都道府県には、厚生労働省が管轄する労働局という組織が存在します。
労働局は、企業の労働に関する問題を解決に向けて方針を示してくれますし、法テラスであれば、解決に役立つ団体や弁護士を具体的に紹介してくれます。
また、みんなの人権110番であれば、法務省の専門窓口に相談できます。
モラハラの解決には、まず相談することが大切です。
一人で抱え込まずに、適切な順番で適切な人たちに相談しましょう。
4.あなた自身がモラハラ加害者にならないために気を付けること
思いがけず、自分がモラハラの加害者になってしまうこともあります。
加害者になってしまうと周りからの信頼を失ってしまうばかりか、裁判にもなれば賠償額を支払わなければなりません。
まさに百害あって一利なしですから、何としてもそれは避けなければいけませんね。
そこで気を付けたいのが、「罪を憎んで人を憎まず」の精神です。
自分にとって都合の悪いことが起きた時には、起きてしまったという事実そのものは憤りを覚えて当然ですし、改善もされなければいけませんが、それを起こした人には何も罪はありません。
たまたまその出来事に関ったのがその人だったというだけで、もしかしたら他の人が起こしていたかもしれませんし、実は自分自身が起こしていたかもしれません。
そう考えて、人を責めないようにすること、これが大切なことです。
まとめ
モラハラは、精神的な殺人とも呼ばれるほど人を傷つける行為です。
それを長期間にわたって受けてしまうと、身体に変調が起きたり、後遺症が残ったりしてしまいます。
ですから、おかしいなと思ったら無理をせずに、周りに相談したり離れることを決断しましょう。
また、自分自身がモラハラをしないように、日ごろから注意することが大切です。
世の中からこうしたハラスメント行為が無くなるように、みんなで注意していきましょうね。
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